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2020.01.08 up
イベントレポート | 染め還しワークショップ
12月15日に森の中にある「Re;circle studio」のメンバーである鹿児島在住の衣服再生家コーヨーが染め還しワークショップを行いました。
大切な人からもらった服、せっかく手にに入れたのに汚れてしまった服など、思い出はあるが、様々な理由で着れなくなった服を藍染めで染め還し、着られるようにしようという想いから生まれたワークショップです。
■イベントスタート(自己紹介~ワークショップの流れ)
まずは講師のコーヨーの自己紹介と、このワークショップを開催した想いからスタートしました。
コーヨー
こんにちは。染め還しを中心に衣類を再生する活動をしています。
「染め還し」とは、自身でつくった造語で、衣服を永く着続ける為に染め直して、愛着のある服に還していく事を、体験を通じて伝えるために行っています。
いま、日本では年間約100トンの衣類が捨てられています。
よごれたり、トレンドにあわなくなったりすると捨ててしまう。そんなことが当たり前になっていて、どんどん服が捨てられてしまう。そんな社会になってしまっています。
そして、「染め還して使う」という選択肢は現代人にはない感覚になってしまっていますが、江戸時代にはこの「染める」という行為は洗濯と同じくらい一般的な位置にあり「汚れたら染め直して使う」ということが当たり前の社会でした。
そのくらい物を大切にしていたのですね。
江戸時代には「染める」ということが一般的だったことには驚きでした。
そして、お客さんからの質問で「色移りはしますか?」という質問に対して「多少はします」とのことでした。
そもそも私達は「色移りしない」ということに慣れすぎているのですが、染めると色が落ちたり、他の衣類に移ったりするものだということです。
でも、空気に触れてゆっくりと酸化させることで色が定着していくので、時間をかけて、色が定着していきます。
今の私たちの感覚が染められたものに慣れすぎているのだなと感じました。
今回自分で染めることは初めてなのですが、どんな色に染まるかが楽しみです。
■染め開始
今回は下記の作業順で行っていきます。
①水につける
汚れを軽くおとしたり、均一に染まるようにする準備
②染める
浸す→揉む→絞る→風にあててる この順番で3回繰り返します。
③干す
色が定着するまで干します。
④色止め
酢酸につけて酸化させて色止めをします
⑤洗う
濯いをかけます。(続きは家で洗います)
まずは水洗いからスタート
持ってきた服を軽く水洗いして、汚れを落とします。
絞るときは2人でしっかり固く絞ります。
一度水洗いした衣類をこれから染めていきます。
こちらが染料です。
「藍色」というよりも染料で見た感じは「黒」に近い感じがします。
この中に先程あらった衣類を漬け込んで染めていきます。
しっかりと漬け込んで、染料の中で揉み込みます。
そしてまた、二人がかりでしっかりとしぼります。
一度あげて、空気に触れる時間をとります。
この様に空気に触れることにより、酸化して、きれいな藍色になります。
画像ではわかりにくいですが、染料から上げてすぐは、藍色というよりも「緑色」をしています。
それが空気に晒すことにより、みるみる「藍色」に変化してきます。見ていてもすごく楽しいです。
この「染料に入れる→揉み込む→絞る→空気に晒す」という工程をあと2回繰り返し、しっかりと染料を衣類に浸透させていきます。
しっかり絞って空気に晒した衣類を一度「酢酸」に漬け込みます。
酢酸に漬け込むことにより、「酸化」させ、色を定着させます。
その後一度水洗いしてまたしばらく干します。
あとは家に帰りもう一度水洗いし、干して酸化させ、また色を定着させます。
以上が藍染めの工程です。
■感想
参加する前は「染め」と聞くと、なんだかすごく難しく、長い時間が必要なのかな?とも思っていたのですが、 想像よりも簡単で、作業自体の所要時間は30~40分ほどで早かったと感じました。
材料や道具が身近にないので、気軽に染め還すということはできないのですが、作業自体は簡単なので、江戸時代など染屋がもっと身近にある環境であれば、染め還しが一般的だったというのも納得です。
このあと、染めた衣類をもち帰り洗濯したのですが、かなり色がでたので驚きました。
帽子もきれいに藍色に染め還りました。
今回持参した服は汚れて着れなくなってしまったもので、自分では「どのタイミングで捨てようか?」と思っていたものでした。
それを自分の手で染めることにより、最初に買ったときよりももっと愛着がわきました。
不定期ですが、今後も染めのイベントを行っていきますので、是非参加してみてください。
服に今までと違った愛着ができて、もっと好きになります。
そして、今ある服を長く、大切につかっていただけるようになることを願っています。