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2019.11.30 up
イベントレポート | これからの時代のファッション座談会(仮)part.2
10月19日(土)に行われました「居酒屋おーるゆあーず」にて 「これからの時代のファッション座談会(仮)part.2」が行われました。
前回の part 1は“森”オープン時のイベントで行われ,今までファッション業界を牽引してきたメンバーで話し合われ、大盛況となりました。
今回 part.1とは違うメンバーで話されるので、またpart.1とは違う視点、バックボーンをもったメンバーで話されるのでどのような話になるのか楽しみです。
■SPEAKER
ALL YOURS代表取締役
原 康人
Black Rimmedオーナー
北野 浩一郎
USEDを拡張する進化型古着屋❝森❞ディレクター
井垣 敦資
■イントロダクション~自己紹介
まずは“森”スタッフ杉本が司会となり、それぞれの自己紹介からはじまりました。
司会
本日はお集まりいただきありがとうございます。
ゆるーく始めていきたいと思いますので、よろしくおねがいします。
まずそれぞれの軽い自己紹介と趣味などお話いただけたらと思います。
原
ALL YOURS代表の原です。年齢は40歳で、スピーカーの皆さんと同い年になりますね。
趣味は、ギャンブルです。特に競艇。もし競艇好きがいましたらこのあと名刺交換しましょう!(笑)
北野
黒縁メガネをコンセプトにお店をやっています。
雑貨を中心にアイテムを取り扱っていましたが、現在は6割が服ですね。
趣味を仕事にしているようなもので、自分で好きなものを調べて、探して、店に置いてる感じです。あとカメラにはまっています。
井垣
“森”に携わっているのですが、同じ会社のmumokutekiというブランドでの自社農業もやっています。“森”ではいろんなコンテンツのディレクションを担当しています。
はまっているものは、、、、坐禅ですね。先日お寺の坐禅会に会にいったら「君は何宗の人だ?」って聞かれました(笑)
軽くそれぞれの自己紹介をしてここから本題に入っていきます。
■仕事の経緯とそれぞれの関係性(過去から現在の話)
司会
それではトークに入っていきたいと思います。
内容は盛りだくさんで、過去、現在、未来について話してもらおうと思っています。
まずはそれぞれお仕事を始めたきっかけを話していただければと思います。
原
出身は大阪の泉大津で、大阪のアメ村にあった洋服の専門学校に行っていました。
ちょうど僕らのときにモード系が流行って、お金もないのにギャルソンなんかを買ったりする人が沢山いましたね。
ただ好きなことを仕事にしたいって思って専門学校に行ったのですが、僕は洋服が好きなだけだったのですが、周りの技術のレベルが高く、これはかなわないな、、、、って思って。
でもそんなことを親父に相談したら「お前はその人たちを使う人間になれ」って言われて。そんな立場の仕事があるんだなーってその時は思いました。
それから、商社に就職したのですが、言われたことが「好きなことをやれ」って(笑)
何をしていいかわからなかったので、とりあえず服は生地からできているので、生地の勉強をして、そしたら、生地は糸からできているので、糸の勉強をして、、、また糸は原料から出来ているので原料の勉強をして、、、、って感じで勉強していきました。それが今すごく生きていますね。
その後ライトオンに入社して、本澤裕治さん(現レッドカード代表)に7年つくのですが、やればやるほどジーンズが嫌いになってきたのです。
「売る」ことや「売る手段」はコツを掴んでいったのですが、買う人の気持ちになっていないのではないのか?っていう疑問や罪悪感がでてくるんですね。
それで全部いやになって、退社して、2015年にオールユアーズを立ち上げました。
オールユアーズでは「着る人の気持ち」以外のことは考えずに服を作ろうと。極端に言うとそれ以外は一切やらない。と決めてたんです。。。。。。
話が長くなるので、後半で話します(笑)
北野
僕もインテリアを勉強したくて、専門学校へ行ってました。
同じように周りはレベルが高くて、ギリギリで卒業。その後無印良品でバイトしたのですが、その時にこんなお店をセレクトショップでやりたいなーって思いました。
その後京都にあるロフトマンに転職して梅田店でバイヤー兼店頭スタッフとして働いていました。
そして独立して今のお店を開業しました。
井垣
僕は姫路出身で、高校生のときに古着に出会いました。
洋服で自分を表現するのが楽しくてファッションのことしか考えていなかったですね!
18歳の時にスピンズ(ヒューマンフォラムの別ブランド)でバイトするのですが、すぐやめて別の古着屋で働きました。
でもまた戻ってきてこうして働いているのはファッションもあるのですが、同じ会社の人や社内の人間性が好きで、こうして続いていて、今があると思っています。
司会
ありがとうございます。みなさん、いろんな経験をして今こうして働いているのですね。
それでは次にALL YOURSの商品を“森”で取り扱うことになった経緯など聞いてみたいと思います。
原
これは、会社でも個人でも言えるのですが、自分がもっていないものをもっていた。それ以外にないのです。
偶然のようで、必然のめぐり合わせですね。
井垣
始めてALL YOURSさんを知ったときは、僕たちとは全然ちがう角度から洋服をアップデートしていて、しかもクラウドファンディングというアプローチのやり方も新しいので、衝撃を受けましたね。
原
アパレルの型にはまった販売方法って、展示会をやってバイヤー呼んで、オーダーつけてもらって、、、、って感じじゃないですか?
そうなると今までと同じ土俵で戦わなければならないのが嫌でしたね。
そこの土俵では戦わないぞ!って意地を張り続けています(笑)
北野
うちには飛び込みで営業にこられました。
話をきいていると、美容室に置いていたり、服を服屋に卸していないってことで、驚きでした。
司会
なるほど、ALL YOURSさんには“森”がラブコールをおくり、Black RimmedさんにはALL YOURSさんがラブコールを送ったのですね!
それぞれのファッションの入り方、働いてきた環境は別々ですが、今までのファッションとは別のベクトルで運営していこうという同じような思いをもった3店舗がここでall yoursさんを介して関わっていることに必然性を感じました。
■それぞれのファッション感に関しての話し合い
3人には事前にそれぞれのファション感をはなしてもらえるように【fashion is ○○】という紙を渡していて、書いてもらっています。ここからそれぞれのファッション感に関して話が進んでいきます。
司会
では次に座談会開始前に書いていただいた【fashion is ○○】ということをそれぞれ発表してもらいます。
原
ちょうど先日Twitterでも書いて反響があったのですが、僕は「服とファッションは同じではない」って思っています。
まず1個目は
「fashion is 思い出」です。
みなさん、それぞれ服には思い入れがあって洋服で人生が形成されてきたのは間違えないと思います。
さらにもうひとつは
「fashion is 年齢で変わる価値」です。
価値観は年齢とともに変わって、それがファッションになります。
そして、ファッションと服は同じではないということは、「ファッション」は生きるために必要ではないのですが、「服」というのは生きるために必要です。
なので、そもそもの階層が違うのです。
井垣
僕も2つあるのですが、1つ目は
「fashion is 煩悩/ego」です。
いま色んな所で所有したり、所有欲はだめだとか、言われているのですが、僕は所有欲もあるし、服ほしいし、少なくともそのエネルギーで生かされているところがあると思っています。
なのでファッションは必要で、生かされているのです。
2つ目は
「fashion is 人生/LIFE」です。
高校生の時に自分に自信と勇気をもらったのがファッションがきっかけでした。
そのあとは本当にそのことしか考えてこなかったです。
そして、自分はファッションはカルチャーだと思っていて、カルチャーの語源は「カルティベイト(耕す、養う、洗練する)」らしいのです。
今までないことを経験して自分をカルティベイトすること、がファッションだと思っています。
だから人生なのです。
北野
うわ、みんなめっちゃ、まじめっすね、、、僕は「異性を意識したときに勉強するカテゴリー」って書きました(笑)
一同
それももちろんあります!(笑)
話はメインの「これからの時代のファッションについて」に変わっていきます。
普段考えたこともない「ファッションとは?」というお題にも、みなさんしっかり自分の意見や考え方や信念があることに感銘を受けました。
■「これからの時代のファッション」について
司会
ではみなさんに、今回の題でもある、「これからの時代のファッション」についてお伺いしたいと思います。
原
結局歳をとるにつれて、自分のことがよくわかってくるのですね。
「世界一ダサいブランド」でgoogle検索してもらえば、ALL YOURSが一番上にくるんですよ。僕ら自身もそう言ってますし。
要は解釈のしかたですよね。LevisもCarharttも元は作業着で、誰かが解釈を曲げて、ファション的にイケてるだろ?って感じで着ていてファッションとして確立されていったじゃないですか。
なので、自分が良ければそれでいいと思っています。
あと僕たちは商品が最後雑巾になるまで面倒見たいと思っています。
お客さんの体型が変わったり、着方がかわってもそれに商品をあわせてあげて、着てもらう。そんな商品との付き合い方をしていきたいです。
井垣
そうですね、“森”としては、「古着」に凝縮されているのですが、解釈も、着方も自由だと思っています。
世間的には「環境」ということも話題ですが、「環境に悪いけど、かっこいい物」っていうものもあると思っています。
環境にいいことだけでは、ファッションがなくなっていくと思うし、いろんなブランドがそれぞれにかっこいいと思うものをやるのがいいんですよ。
ファッションに夢がないことはやりたくないですね。
■これからのお店の展望
司会
最後にこれからどういう店舗にしていきたいか?ということをそれぞれお伺いしたいです。
原
今池尻大橋にあるお店で物を買えなくしたんです。全部オンラインに流すように。
そこでしか得られない体験価値をつくりたいと考えています。
北野
はじめに話したように、無印良品みたいなセレクトショップをやりたいです。
リフォームなどで、「住」の部分もやりたいし、「食」もやりたいですね。
うちで完結できる大人のテーマパークにしたいです。
井垣
森なんです。
森には木があり、水があり、虫がいて、鳥や動物たちが暮らしています。
そこには多種多様な生き物や植物達が、自然と集まります。
古着だからこそ出来る、〇〇系とかでカテゴライズされないお店にしたいですね!
司会
本日は長いお時間ありがとうございました。
■最後に
みなさん、それぞれ別のお店で、働いてきたのですが、それぞれ「ファッション」に対する強い想いをもってお店を運営していることがひしひしと伝わりました。
今の時代ものを仕入れて売るだけでは数え切れないくらいのお店がある中、どのような信念でお店を作っていくか?その信念をぶらさずに運営していくことのかっこよさを強く感じました。
世の中のアパレル業界やファッションの価値観が変わってきている現在、それぞれの想いがお店が進化させ、さらに新しい時代のファッションを牽引していくのだろうと感じ、それぞれのお店の今後が楽しみです。